革を染めてもらいに南へ

定番製品で使用していたイタリア産の革がコロナの影響などにより代理店での取り扱いがなくなってしまうということで、これからどうしようかと革のサンプルを眺めながら悩んでいた今日この頃。

HWDTではインポートレザーを使って製品を作ることが多いのですが、今後も価格が上がっていくかもしれないことや、今回の様に取り扱いがなくなってしまうリスクなどを考えると、インポートではなく国産という選択もありなのでは。と思いつつも国産レザーを使用しているメーカーは多いしなんか面白くない。何か素材としてもより魅力のあるものはないものかと悶々としていました。多分3ヶ月くらい。。。

日々オーダーを頂きつつ作りつつ、色々と模索していくなかで、やはり土着的なもの作りがしたいなという思いに気がつきました。徳島といったら藍染だよなぁとなんとなくお世話になっているHi-COLOR handworksのブログを覗いているとTシャツを泥染で黒に染めている。勝手に泥染=茶色という先入観を持っていたので驚きでした。泥染の本場が奄美大島ということさえ知りませんでした。

そして、もし革を泥染で黒に染めてもらえたら、藍染と泥染と生成りの3色に絞った製品展開ができるかもなどと思いつきました。ストーリーとしても徳島から発信する意味が見えやすいのではないかと。

そこで早速『革を黒く染めれませんか?』と連絡。ちょうど布生地と革で鞄の注文ももらっていたので、布地も一緒に染めれないかと。

記事を見つけてからの連絡ははやかったものの、なかなか材料を持っていくことができずようやく今日お邪魔できました。

忙しいのにありがとうございます。

泥染はまず、アンモニアを薄めた液体にひたして下地を作り、そこから染色が始まります。

植物タンニンと石灰水を使って繰り返し染めた後、泥で色をつけていきます。

植物タンニンを煮出したもの

植物タンニンを煮出したもの

繰り返しタンニンと石灰につけて染めていく。序盤、なかなか色が現れない状況に無言になりつつも気がつけばいい色に

宍喰で取れる泥を使って染めていく

仕上げに酸性(鉄)、アルカリ性(石灰)のどちらに触れるかで色が変化する

Hi-COLOR handworksの泥染は、自家栽培で生産される藍の茎と、徳島県海陽町で採れた泥を利用して染色されます。

通常、泥染ではテーチ木からタンニンを抽出し使用する様ですが、こちらでは藍染で廃材となる藍の茎の部分からタンニンを抽出して使用しているということ。オーガニックで育てた素材を余すとこなく使い切るサイクルは、ハギレが多く出る革製品を作る身としては見習いたいと思いました。

泥は宍喰にある八坂神社で湧き出す水に沈澱する鉄分が豊富な泥を使用しているということ。自然の中にある身近なものを活かしてより美しいものへ昇華する行為は大昔から続いているんだと気付かされました。

まだ乾燥待ちの状態ですが革も泥染ができる!そしていい感じである!ということがわかりました。

徐々にではあるかと思いますが、徳島の泥で染まった革と徳島の藍で染まった革をHWDTの定番にしていけそうで楽しみです。

どうぞご期待ください。